1) 野球肘の発生は11、12 歳がピークである。従って、野球指導者はとくにこの年頃の選手の肘の痛みと動きの制限には注意を払うこと。野球肩の発生は15、6
歳がピークであり、肩の痛みと投球フォームの変化に注意を払うこと。
2) 野球肘、野球肩の発生頻度は,投手と捕手に圧倒的に高い。従って各チームには、投手と捕手をそれぞれ2 名以上育成しておくのが望ましい。 3) 練習日数と時間については、小学生では、週3 日以内、1 日2 時間を越えないこと,中学生・高校生においては、週1 日以上の休養日をとること。個々の選手の成長,体力と技術に応じた練習量と内容が望ましい。 4) 全力投球数は、小学生では1 日50 球以内、試合を含めて週200 球を超えないこと。中学生では1 日70球以内、週350 球を超えないこと。高校生では1 日100 球以内、週500 球を超えないこと。なお1 日2 試合の登板は禁止すべきである。 5) 練習前後には十分なウォームアップとクールダウンを行うこと。 6) シーズンオフを設け、野球以外のスポーツを楽しむ機会を与えることが望ましい。 7) 野球における肘・肩の障害は、将来重度の後遺症を引き起こす可能性があるので、その防止のためには指導者との密な連携のもとでの専門医による定期的検診が望ましい。 2005 年12 月
日本臨床スポーツ医学会学術委員会 委員長大国真彦 整形外科専門部会 委員長渡辺好博 |
投球障害の実態(各階層の調査結果とコメント)
(1)少年野球
四国地区の調査(過去13 年5,768 名)で、チーム内の野球肘の発生は約50 %、X 線で骨の異常のあるものは全選手の約20 %に達していた。指導者の90 %は、野球肘の発生原因を投げ過ぎによるとし、その他に投球フォーム、骨・筋肉の未発達などが原因と考えていた。投手の1 日平均投球数は50 球、最高は150球。1 週間平均は152 球、最高は350 球。投手の1 日2 試合連投は40 %近くに達していた。アメリカの文献の多くは、投球規制数として30〜 80 球としている。実現可能数並びに個体差とより安全性を考えて50球が妥当と考えられる。 団員の健康管理については放任状態に近いものがあった。子供の体を考えれば野球だけでなく他のスポーツもさせるのがよいと思われた。 (2)中学生
(3)高校生
(4)社会人野球チーム
(5)プロ野球選手
(6)全般的印象
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<参考>
下肢疲労骨折年齢別と下部位別グラフ