■ピッチングフォーム徹底分析
第19回 根尾昴 2015.8.11
古川西クラブ−飛騨高山ボーイズ
紹介:根尾昴投手は中学3年生で176センチ73キロ、古川西クラブで少年野球を始め小学6年生の時にドラゴンズジュニアのエースで既に128キロをマーク、ソフトボール投げでは全国歴代1位の89m、中学では全国中学スキー大会男子SL優勝、飛騨高山ボーイズでは現在MAX145キロをマークしており、中日本選抜メンバーとしてボーイズリーグ世界大会で優勝するなど中学3年生ながら逸材と評されています。また兄の学君は今夏の岐阜大会で準優勝した斐太のエース、両親は医者で昴投手も成績がオール5で生徒会長という文武両道の道を歩んでいます。
フォームチェック:★★★★
根尾昴投手の第1印象として西武の岸投手のように体がムチのようにしなり、腕を振ったあたりからはドラゴンズジュニアの先輩でもある青島投手の中学時代を彷彿させるダイナミックなフィニッシュの印象でした。
まず、足が胸のあたりまで自然に高く上がります。つま先が下に向きながらも高く上がる投手は珍しいでしょう。その後、つま先はショート方向に向きながら体重移動が始まります。つま先はショート方向に向くことで体の開きが抑えられヒップファーストの形が形成されます。
3枚目の写真では小学時代はグラブが高く上がっていましたが現在は肩のラインまででしょうか。もう少し上がってもいいと思います。ボールを持つ手はやや内側に引きます。肘が見えてもボールは見えないようにするとややアバウトなボールも安定するでしょう。この時点でお尻の落とし込みは理想的で下半身にタメが生まれています。
4枚目の写真はステップしたあたりですが、ボールの位置が頭の後方のちょうどいいあたりにあります。ややグラブの引き込みが早いものの加えて左肩がキャッチャー方向にしっかりと向いていて胸の張りも十分です。この時点で右肘が見えているので肩関節が柔らかいことが伺えます。膝も開かずホーム方向にしっかりと向いています。速い球を投げる投手はステップする時に開いたりする投手が多い中で、なかなかこの形が出来る投手は少ないですね。
5枚目の写真は腕を振るあたりですが、頭を下げて頭も振ってしまっています。頭を動かさず腕だけしっかりと振るようにすれば、スピード、コントロール共に更に良くなるでしょう。
6枚目の写真で腕を振った後で、日ハム大谷投手と同様にキックバックが見られます。速球派投手の一部で踏み出した足が後方に戻ってしまう動作ですが、踏み出した足に体重は乗らず体に負担が掛かるので修正したいポイントです。一方、軸足は高く長い間上がっていて青島投手を思い出します。うちの中等部の投手にもこれをやらせたりしますが、下半身がしっかりしていないと踏み出した足で立っていることは出来ませんが、この投手は下半身が強くそれがピッチングにも表れている証拠です。
全体的に少し修正する点はあるものの類まれな能力を持ち合わせた投手であることは間違いありません。身長は176センチとなっていますが、そんなに高くは感じられずやや細身、今後身長が伸びるかどうか。180センチを超えてくればプロでも活躍できる投手になるでしょう。今から楽しみです。
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