ANALSIS -分析-












■ピッチングフォーム徹底分析

 第17回 水野鉄男 2012.7.1
 名商大−三菱重工名古屋






紹介:水野鉄男投手は愛知県名古屋市出身。中学時代は名古屋フレンズに所属、愛知商に進学するも3年夏は中部大第一に敗れ甲子園出場はなし。 大学は名商大に進みちょうど1部に上がった1年秋から元PL学園監督の中村順司監督に認められ登板。2年生春には6勝(5完投)を挙げ2年生から早くも主戦級となる。私もこのころから見ていた投手でした。その後も活躍したものの、1部に上がってきて間もない為、打線が振るわず愛知大学野球リーグでは悲運のエースのイメージが強かったが、4年生には最大のチャンスが訪れ、最後の4年生秋のシーズンにはあと一つ勝てば優勝というところで、私も観戦に行きましたが連敗し悲願の優勝には手が届かなかった。その10年秋には特別賞を受賞。08年春、09年春、10年春と敢闘賞を受賞していることからも孤軍奮闘ぶりがうかがえる。また、特出すべきは4年間で406イニングという登板数。その頃活躍していたライバルとしては、浦野博司投手(愛学院−セガサミー)330イニング、石川歩投手(中部大−東京ガス)234イニング、祖父江大輔投手(愛知大−トヨタ自動車)192イニングと比較しても、その登板イニングの多さは別格。その頑張りからも名前をもじってアイアンマンと名付けられているのでしょう。三菱重工名古屋に入社後も順調に成長し、今年はエースとなり都市対抗予選は7試合中4試合先発1試合リリーフ登板の5試合に登板。残念ながら予選敗退となったものの、第2代表の王子製紙の補強選手として都市対抗本大会での活躍が期待されるドラフト候補のアンダーハンドです。

フォームチェック:★★★★★
 水野投手は常にセットポジションでの投球。セットポジション後にスッと体をやや沈め、膝を曲げて下半身を安定させます。その状態から最初の写真のように左足を上げます。グラブの位置は胸に収まり上の4枚のあたりまで非常にゆったりとしたリズムで軸足に体重を乗せタメを作り下半身主導のフォームを形成させています。
 その後、両手を広げ左足は地面を沿うようにステップさせます。このあたりからスピードアップさせ右腕もテークバックはやや浅く腕の出所も分かりづらく、打者にとってはタイミングを合わせにくい投手です。アンダーハンドで最も低い位置では地面からは20センチあたりを通過します。この時に、下半身が強く粘りのあるフォームで、手首をやや立たせます。これが打者が球が浮き上がると評するポイントです。
 リリースポイントでは腰が入って、いわゆる体がキレた形でグラブで体の開きを抑え軸足は残り粘りのある素晴らしい形が出来ています。最後は自然な形で上体を起こします。
 全体を通してアンダーハンド投手の中でも非常に滑らかな完成度の高いフォームで安定しています。力を入れるポイントも熟知している投手で大学時代に故障もなくあれほど登板出来たことが伺えるフォームです。変化球はカーブ、スライダー、シンカー、シュートで右打者には思い切ってインコースを使い大学時代はバットを折ることをしばしば見ました。さすがに社会人では少なくなりましたが130キロ台の浮き上がるストレートに磨きをかければプロも夢ではないでしょう。
 
 



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