ANALSIS -分析-












■ピッチングフォーム徹底分析

 第4回 小笠原 広紀 2008.11.11
 名古屋国際高−中部大−ニッセイ


  すいませんが能力オーバーでビデオを一時中断しています。



紹介:中部大の大黒柱として愛知大学野球リーグ戦初優勝を遂げ、全日本大学選手権でも中部大をベスト8に躍進させた小笠原投手。成績も2007年春:3勝4敗 防御率2.03、2007年秋:4勝3敗 防御率1.89、2008年春:6勝3敗 防御率1.53(MVP)、2008年秋(中間発表):4勝0敗 防御率0.73(敢闘賞)と年々成長してきた。最後の年となる来年はライバルの愛学院の小川投手の投げ合いも楽しみだ。また、小笠原投手は中学時代は緑クラブ第17期生の2塁手で高校は名古屋国際と異色の経歴を持つ。決め球はカットボール。

フォームチェック:★★★★
 上の記事は、全日本大学選手権2回戦の三重中京大を完封したもので連続写真はその試合の5回表のピッチングである。私が小笠原投手のピッチングを見たのは計7試合。この試合は立ち上がりが悪くどうかと思っていたが、この回あたりから徐々に良くなった試合で最後は完封した試合である。ただ、調子が悪くてもピッチングフォームはどの試合もあまり変わらず無理なく常に安定した投げ方が出来るのが小笠原投手の長所だ。
 では、細かく分析してみよう。1番目の写真は、左足を上げた形だが左足の踵が右足に沿うように上がっている。膝は直角で無理にそれ以上は上げようとしていない。軸足の膝も曲がらずピンと張って体の軸が一直線となっていい形だ。
 2〜4番目の写真は、左足を下げテークバックの瞬間。左足は上げた位置の近くに戻ろうとしてバランスを上手くとっている。また、右腕は一旦下げて上がってくるのだがコンパクト且つ無理なくスムーズに動いている。ここが、私が小笠原投手の一番好きな所だ。このようにコンパクトなのに柔らかく素早い動きが出来る投手はなかなかいない。止まらず常に動いているので力まないしギクシャクしない。この部分は指導しようとしてもなかなか変えることは出来ない。小笠原投手はこの動きが出来るのが強みだ。
 5番目の写真は、胸を張っているところでグラブの折り畳みがやや早い感がある。ただ、6番目の写真は腕が後ろに残っているので7番目の写真で分かるように、腕のしなりがしっかり出来ている。
 後半の写真は腕を振り下ろして最後のフィニッシュの形となる。腕を振り下ろした時に頭の位置がやや低くなるので胸を張って頭の位置を下げ過ぎないようにすることと、背中が丸くなり左に傾いている上半身を跳ね返し守備体勢に戻すことが出来ればスピードはもっと増すだろう。
 この登板の2日後の東海大戦の試合後にストレートのスピードが速くするといいと助言したが、今後の飛躍の為にアドバイスを送るならば、「左足をもう少し上げる」「グラブの折り畳みをもう少し我慢する」「少し跳ね返しを入れてみる」ことによりピッチングフォームに躍動感を出しスピードを増すことだ。
 同タイプでバイタルネットから日ハムに今年ドラフトされた2年前のエースで大学の先輩でもある谷元圭介投手を励みにしてストレートに磨きをかけ上を目指して130キロ後半のストレートを140キロ台に上積みすると更にカットボールも生きてくるだろう。今後の小笠原投手に期待している。




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