■ピッチングフォーム徹底分析
第8回 石川 歩 2010.9.13
中部大学−東京ガス−2013年ロッテ1位指名
紹介:2008年に愛知大学リーグで初優勝した中部大が大学選手権でベスト8まで進出した。しかし、準々決勝で東海大に当時の2枚看板、小笠原投手と金丸投手が打たれ敗色濃厚となったところで石川投手が登板、いきなり147キロの速球を投げ一躍プロのスカウトが注目した。その年の秋、全日本合宿に選ばれる。ただ、3年生までは小笠原投手の次のピッチャーというイメージであった。それが、ようやく4年生の春季リーグで防御率0.69で最優秀防御率を獲得、中部大の大黒柱となった。特徴は身長184センチで長いリーチを生かしたしなやかなフォームで投げる速球が魅力だ。西武の岸に似た投手と評されるが、投げ方は元巨人の上原投手にかなり似ている。軽く投げても140キロ中盤は出るし、変化球もブレーキの利いたスライダー系のカーブと落ちる球がコントロール良く決まりピッチングに安定感を感じる。私が見たこの5年間の愛知大学野球で将来性を考えてと間違いなくbP投手であり東海地区の逸材である。
フォームチェック:★★★★★
まず、最高の5つ星をつけたのは石川投手が数年後プロでも高めで勝負できるかもしれない数少ない本格派の逸材であり、ホップするスピードボールを投げることが出来るフォームであることを言っておいてから説明する。
それは、上の写真からも言えるがピッチャーとしてスピードが出るかどうかのステップした時の形である。ステップした足に十分に体重が乗りながらも腰の位置が高い。また上体は胸を十分に張っており肘の位置も高く手首は後ろに残っている。上体がしなやかで手足の長さを生かしたいい形だ。
次にPLAYをクリックしてセットポジションでの投球のビデオを見てもらいたい。足を上げた時は2段モーション気味だが足は無理なく上がり、この時一瞬体が上に伸び上がる形も出来てグラブの位置も高い。以前はもっと腰を捻ってから投げていたが捻りを抑えてシンプルにした。
その後、ステップしながら手を大きく開き胸が広がっているのが分かる。体の開きもなく両手の位置も良い。ビデオを止めて見ると分かるが最大に胸を張った時の右腕の位置が後ろにセカンド方向に残っているのは肩関節が柔らかい証拠だ。
それから、上の写真のように踏み込んで投げるのだが、軸足を蹴った時の軸足の高さ、腕を振った後の跳ね返りと踏み込んだ足のバネを使うところ、頭が下がらず高い位置にあることなどが最大の魅力で私が一番好きな所だ。実は昨年桐村に石川君のピッチングをイメージして夏以降に真似させて体が突っ込み頭が下がることを修正させて成功した。
上記の一連のフォームから見ても元巨人の上原投手をイメージ出来ると思うが、終わった形が投げっぱなしのところも上原投手に似ている。この投げっぱなしが下半身の粘りがないとか評価されることもあるが決して私はそうは思わない。この投げっぱなしがホップするボールを生み出していると思うからである。石川投手もこの形を変えない。
石川投手はストレートは高く変化球は低く高低を上手く攻め勝負するタイプであり即プロでも通用するかもしれないしプロに行ってほしかったが、大学卒業後は東京の某有名社会人野球の会社に進み2年後にプロの指名を待つことになる。今後石川投手の更なる進化を期待したい。
2011.3.9
2008.11.14 中日スポーツ
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