COACHING -指導-












■牽制を身につけよう  2011.2.1

1塁への牽制のポイント
 各塁への牽制は「1.素早く投げる」「2.走者の逆を突く」「3.牽制を投げることを走者に分からせない」「4.牽制のバリエーションを増やす」ことがポイントです。

 特に1塁への牽制は4つの要素のどれかで走者をタッチアウトにすることができるのでしっかり身につけてほしいと思います。


 1.素早く投げる
 走者を牽制で刺すには素早く投げることが一番です。セットポジションで静止の状態から1塁へボールが到達するまでの時間をいかに短くするかです。
 それには、「速く体を回転する」ことと「速い球を1塁へ投げる」ことです。
 「速く体を回転する」ための練習としては、ターンの練習をよくやらせます。セットポジションの状態から90度回転し1塁方向に素早くターンし左足が1塁方向に正しくステップする練習を繰り返し行います。
 その際、セットポジションの足の幅の間隔と同じ間隔で回転することがポイントです。1塁方向へ大きくステップしてしまうと、その分時間が掛かってしまうので肩幅ぐらいで素早く駒のように回転出来るようにしましょう。
 また、駒のように回転するには軸足の爪先で回転することです。

 次に「速い球を1塁へ投げる」には、回転を生かして投げ方が必要です。体を速く回転してもボールが遅いのでは走者は刺せません。
 速い球が投げられない投手は、回転が止まる直前に投げている投手が多く、回転の途中から投げ始めるようにすると回転を生かせることになります。
 最初は狙った所に投げられないこともありますが慣れてくると上手く投げられるようになります。
 また、上体をやや前傾姿勢にすることと、肩や肘を上げすぎずに小さな腕の振りにすると力が加わりやすくなるので繰り返し練習しよう。

 上記のように、素早く投げることが出来れば走者のリードも狭くなります。私は中学生にクイックでホームに投げるタイムと同じタイムで投げられるように指導しています。
 セットポジションの状態から1塁まで到達するのに1.3秒、これが中学生のノルマとさせています。

 
 2.走者の逆を突く
 走者を牽制で刺すもう一つの方法は「走者の逆を突く」ことです。
 走者は投手がセットポジションに入るタイミングでリードをします。
 詳しく説明すると、投手がサインを見る時は腕を下げ、サインを確認後セットに入る時に腕を上げ胸や腹の位置でセットに入りますが、その間に半歩〜2歩リードします。
 その時に牽制を投げると走者の逆を突けます。サインを見た後に腕を上げる時がチャンスです。この牽制は以前教えた市川が最も得意としていた牽制です。
 セットが終了する直前より腕を上げ始める時が一番刺せるタイミングです。走者が少しでも油断すると刺すことが出来るので自分のものにするといいでしょう。

 また、打者に投球するようにみせかけて、牽制を投げると走者の逆を突くことが出来ます。いわゆる走者を騙すことが出来れば走者は刺せます。
 西武ライオンズの片岡選手は投手の背中あたりを見るようですが、アマチャーの選手は全体を見ながらも足に注意をしています。
 その足の動きを少し変えてみることです。少し大回りしたり少し引いてみたり少し踵を上げてみると走者は戸惑います。この時、膝を曲げ過ぎるとボークを取られるので注意しましょう。


 3.牽制を投げることを走者に分からせない
 牽制を投げることを走者に分からせないことは、走者の逆を突くことと同じようですが少し違いがあります。
 走者の逆を突くことは投手の動きを走者が見て判断を誤ることですが、牽制を投げることを走者に分からせないことは投手の動きを分からせないことです。
 実際には牽制を投げることは分かりますが、牽制を投げる動きを察知されることを如何に遅らせるかです。
 牽制を投げる動きを投げる直前まで分からせない。逆に牽制が来ることが分かる投手というのは、何か牽制の前に分かる動きがある投手です。
 首を傾けると牽制、体が1塁方向に倒れると牽制など、何か牽制を投げる前に体の一部が動く癖がある投手は、牽制を投げることを走者が分かってしまいます。
 なるべく牽制を投げる前に体の一部を動かさないことが、牽制を投げることを走者に分からせないポイントです。
 また、ターンする前に腕が先に動いてしまう投手も走者には牽制が分かりやすい投手となります。無駄な動きをなるべくなくしましょう。

 
 4.牽制のバリエーションを増やす
 今までの3つのポイントはしっかり覚えてほしいものですが、最後の牽制のバリエーションを増やすことは走者を簡単にスタートさせない為に必要です。
 いつも同じパターンで1塁に牽制を投げてしまっては走者はスタートは切りやすいものです。
 走者にスタートを切らせない為には色々な牽制をしてみることです。それには色々な場面で牽制することです。
 セットに入った後しか牽制をしないのでは走者がそこだけに集中すればいいので、「サインを見る時」や「セットポジションに入りながら」の牽制もやってみることです。
 また、どの場面でも牽制は投げずプレートを素早く外すことだけでも走者には牽制と同じ効果があります。
 それと、セットに入った後も同じタイミングで牽制しないことです。セットに入ってすぐに牽制したり、10秒ぐらい長くボールを持って牽制してみたりすることです。
 

 以上、4つのポイントを紹介しましたが、基本的に私は小中学生には牽制球を投げる時にはプレートを外さないように指導しています。プレートを外してから牽制球を投げては時間が掛かってしまうからです。
 プロの投手になるとグラブにボールを入れサインを見ている状態で、素早くボールを持ち替えプレートを外して投げることが出来ますが、高度なテクニックなのでアマチャでは1塁へのボールも上手くコントロールも出来ません。
 まずはプレートを外さず上記のポイントで投げられるようにしましょう。

 最後に私が見た投手の中で1塁への牽制が上手い投手として三菱自動車岡崎の山名投手を紹介します。
 素早い牽制で走者はセーフになっても、いつもヘッドスライディングでギリギリのタイミングです。
 以下の写真を見ても腕が体にフィットしてセットポジションの状態が安定していることが分かります。

 三菱自動車岡崎 山名投手↓



 
 

 後日...2塁への牽制のポイント